「テーマとヴァリエーション」—ものがたりにかえて

ストーリーはないけれど、ドラマがある
チャイコフスキーの「組曲第三番」の最終曲にジョージ・バランシンが振り付けたこの作品は、具体的なストーリーはありません。でも「登場するのは男と女であり、彼らが手と手を取り合って踊り始めると、そこに愛が生まれる」のです。
幕が上がると、眩いばかりに光り輝く宮殿の大広間とダンサーたちが現われます。そして、プリンシパルが踊る“姫”と“王子”の華麗な愛のドラマが始まります。

「バランシン作品と『テーマとヴァリエーション』」上野房子
2000年2/4〜2/6新国立劇場<トリプル・ビル>公演プログラムより


主 題 アンダンテ・コン・モート ト長調
●男女プリンシパルによる主題の提示
第一ヴァイオリンが主題を奏し、他の弦がリズムを刻む。

第一変奏  アンダンテ・コン・モート ト長調
●女性12名による踊り
弦楽ピチカートの主題に木管の装飾旋律が加わる。

第二変奏  モルト・ピウ・モッソ ト長調
●女性プリンシパルと12名の女性による踊り
ヴァイオリンの32分音符の装飾的音形で主題が表現される。

第三変奏  テンポ・デル・テーマ ト長調
●女性12名による踊り
第一フルートが主題を奏し、第二フルートが三連符で装飾する。

第四変奏  テンポ・デル・テーマ ロ短調
●男性プリンシパルと女性12名による踊り
イングリッシュ・ホルン、クラリネット、チェロが主題の変形を奏する。

第五変奏  アレグロ・リソルート ト長調
●女性12名による踊り
四分の三拍子に変形された主題がフーガによって発展する。

第六変奏  アレグロ・ヴィヴァーチェ ト長調
●男性プリンシパルのソロ
スケルツォ風の変形主題がクラリネット、ファゴット、ヴィオラ、チェロで奏される。

第七変奏  モデラート ト長調
●女性プリンシパルと12名の女性による踊り
木管楽器だけのコーラル風な清澄な曲。

第八変奏  ラルゴ ハ長調
●女性プリンシパルと12名の女性による踊り
高音弦のトレモロに乗ってイングリッシュ・ホルンが主題の変形を奏する。

第九変奏  アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ イ長調
●女性プリンシパルのソロ
変形主題がヴァイオリンから木管に引き継がれ奏される。

第十変奏  アレグロ・ヴィーヴォ ロ短調
●パ・ド・ドゥ
カデンツァのあと独奏ヴァイオリンが憂愁な主題を奏でる。

第十一変奏  モデラート・モッソ ロ長調
●パ・ド・ドゥ
四分の四拍子。弦と木管で変形が共奏される。

第十二変奏   フィナーレ、ポロネーズ ト長調
●男女プリンシパルおよび男女12組によるフィナーレ
壮大なる序奏の極点でポロネーズが出現し、全楽器が壮麗・豪華な効果の中に進む。

2000年6/29〜7/3新国立劇場公演パンフレットより