ミントについて

ミントは1998年11月15日、娘の誕生日プレゼントとして大手ペットショップから購入しました。


小さく愛らしくごくごく普通のパピーだったミントですが、家に迎えて二カ月ほどしてからあまり遊ばなくなり、物音におびえたり部屋の隅っこにいたり、物にぶつかったりとこれまでと違った行動をするようになったので、近所の獣医さんに診てもらいました。

「目が見えてないようだ」・・・

原因が不明なので詳しい検査をするために、東大家畜病院を紹介されて2週間後に受診しました。

ミントはPRA(進行性網膜委縮症)でした。おもにダックスやコーギーに多い遺伝性疾患です。治療法もなく徐々に失明をしていくものでした。

同時に胆石も見つかり、大学病院で胆石の治療を受けることになりました。

目が見えなくなっても胆石があっても、当時のミントは元気でした。

ご飯もよく食べるし、目が見えないとは思えないほどトイレの失敗もなく、家具の合間を器用にすりぬけていました。

そんな穏やかな生活を送っていた2001年8月5日。暑い夏の早朝別の部屋で寝ていたミントの「ヒューン、ヒューン」と悲しげな不安そうな声で目を覚ましました。
ミントは自分のベットから少し離れた場所で倒れていました。

抱き上げると力が無くすり抜けるようでした。

ミント自身がなにが起こったのかわからなように不安そうに鳴いていました。おしっこもうんちも出てしまい口からは絶えずよだれが流れていました。

パニックになりながら、診察時間前の病院に駆け込みました。

午前中いっぱい検査をしてもわからず、担当医がまるでもう明日にも死んでしまうような言い方をしたので、家に帰り大学病院に電話しました。

予約診療以外は受け付けないので、最初はかかりつけ病院に連れていったのです。

たまたま大学病院での担当医が宿直で大学にいて「すぐに連れて来て」の言葉に病院に戻り、大学病院に連れて行きました。

3日間意識が戻らず、ようやく目を覚ましたミントは立つ事も歩く事も自分で食べることもできない後遺症と共に私の腕に戻って来ました。

「命さえあるなら、後遺症なんて・・・」と心から命があることに感謝しました。


一カ月の入院中の検査で「水頭症」と「低電解質」が倒れた原因だろう・・・とのことでした。

もともと低い電解質体質だったようで、それが水頭症の癲癇発作によって、体内のミネラルバランスを崩し体中の水分が一気に脳に集まり小脳を圧迫したための後遺症だと説明を受けました。

寝たきりとなってしまったミントでしたが、その後6年半ずっと私のそばにいてくれました。

介護生活は決して楽しい幸せなことばかりではありませんでしたが、それでも私は「ミントと一緒」にいられることが、この上なく幸せでかけがえのない時間でした。

2008年3月21日の朝、再び水頭症の神経症状が出ました。絶えず口をパクパクとさせていて意識がもうろうとしているようでした。
すぐに病院に行きステロイドの注射を打ってもらいました。

先生からは「水頭症の症状が進んでいるのかもしれないね。でもステロイドでおさまると思います。」とのことでした。

「また6年前のように一から始めればいいや。まだ頑張れるから・・・」そう思っていました。

翌日3月22日、再び病院に行き検査を受けるとこれまでにないほど、私が見た事ないほど「合格点」の血液検査でした。

「良くなるね」と先生と確認をし、帰りの車の中。「東京の桜が開花しました」とニュースで聞き「ミント、もう少ししたら桜が満開になるからその頃はきっと良くなっているからお花見しようね。」と話しかけました。

家に帰り、一瞬目を離すと・・・ミントは静かに眠るようにあっという間に旅立っていました。

あんなに長く長く介護をしてきたのに、一瞬で逝ってしまいました。


まるで風が吹いて桜の花びらを散らしたかのようでした。

私とミントとのお別れは一瞬でした。