思い出話1−バンド編−
今回はただの思い出話。昔は本気でバンドで飯食っていこうと思っていたものである。関東にもよくライブに行っていた。遠征先の一つに横浜の「7thアベニュー」っていうライブハウスがあったけど、そこで出会った強烈なバンドのお話。
その日の昼ごろ会場入りするとき、派手な格好した女の子が既に入り口付近に数人いた。その日のタイバンのファンの娘らしい。今日のタイバンは人気バンドなのかな?本番は7時過ぎなのだが。
さっそくライブハウスに入るとタイバンのバンドがいた。なんか派手な格好してる。いわゆるビジュアルって奴かな?その後ドラムセットのミーティングが始まる。
だいたい、ライブハウスではドラマーが自分セットじゃないとアカン!とかのこだわりを持っていないときはセットを使いまわす。ライブハウスの方が「セットは2タム1フロアでいいですか?」と言うとそこのバンドのドラムは???という顔をしていた。2タム1フロアの意味を知らんらしい。ちなみに2タム1フロアとはそのまんま、ドラムセットのタムが二つでフロアタムが一つということ。
ほんでギターアンプのミーティング。向こうで「今日はギターは一人?二人?」という会話が聞こえる。あんたらのバンドは日によってギタリストの人数が違うんかい!?しかも自分のアンプを持っていないらしい。
夕食から帰ると、楽屋でそのバンドが化粧をはじめていた。顔面に血管とか書いているぞ。頭は爆発状態。衣装はナチスドイツとかの服を着ている。濃いバンドやなあ。その前にアンプくらい買え。
会場は派手な女の子達で埋め尽くされている。
ほんでもって本番開始。俺らの出番はそのビジュアルナチス軍団の後だ。
入場のSEが流れる。長い。むちゃくちゃ長いやんけ!30分くらいずっとテープ流しっぱなしだぞ!
ようやく彼らがステージに出て行く。メチャ黄色い声援が飛び交っている。
演奏は・・・・・・・・・わけ分からんかった。
1曲終わったら奴等は楽屋にもどって来た。何かの演出かな?
冗談で「もう終わりですか?」って聞いたら「もう終わりですよ」という返事が返ってきた。
「本当に終わりですか?」
「本当に終わりですよ」
「ホントにホント?」
「うん、ホントにホント」
一瞬メンバーの表情が凍り付く。「マジ!」
おいおい、1曲しかやってないやんけ。実は出番はもうちょっと後かと思って全然準備をしていなかったのだ!早く衣装に着替えなくては、ズボンはどこじゃー!
大のバンドマンがパンツいっちょで楽屋をうろうろする姿はかなり情け無い。
そこにそのバンドのファンの女の子がなだれこんでくる。おいおい楽屋にまで入ってくんなよ。しかも俺パンツ一枚。しかも女どもは俺らを完全無視。
しーーかし、今日は女性客が多いしやる気まんまんだぜ!と思ってステージに出てみるとがらーーんとしてて客席には5人くらいしか客がいない。前のバンドが終わったらそのファンは皆帰ってしまったようだ。それまでで一番客の少ないライブだった・・・・
追伸:その次の月くらいにロッキンfという雑誌にそのバンドが期待の新人インディーバンドとして紹介されていた。もうイヤ!
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