【太陽のしっぽ】
ジャンル:アクション?
ハード :プレイステーション
メーカー:アートディンク
【購入動機】
購入はしていない。雑誌とかで話題になてったんで友人に借りた。
【内容】
原始人を操作して食っちゃ寝るを繰り返すだけ。本当にそれだけ。一応、塔をつみあげるという取ってつけたような(実際に取ってつけただけだろう)目的はある。
キャラは眠くなると、プレイヤーの操作を無視して突然眠り出す。これは笑える。坂道で寝てしまうとズルズル下にすべり落ちてしまう。そのまま池に落ちて溺死したりして。でも笑えるのは最初だけ。勝手に眠られるのが続くとマジでムカツいてくる。これをずっと楽しんでいられる人ってどんな暇人・・いや寛容な人間なんだろう?
電源入れた瞬間から怪しいオーラが出てる点では、直感的に天然なクソさを感じさせる。ワイルド・ピュア・シンプル・ライフとか今までにないとか斬新さ(原始生活シミュレーション?)を強調するあたりも歴代のクソゲーを彷彿させる。
すべての面(モデル、動き、音)においてヤバイ雰囲気を持っている。特にモデルは子供が紙粘土で作った人形を生乾きの状態のときにハンマーで一発殴ったような姿をしてる。
【40点満点で】
ファミ通PSという雑誌があるが、この雑誌の過去のレビュー総集編を立ち読みしててあるレビュー記事に目が止まった。「太陽のしっぽ」点数、8、8、8、6。・・・・・ん?見間違いか?もう一度見てみよう。8、8、8、6。目をこすってもう一度。
8、8、8、6・・・・・・・・・・・・・・
何でじゃ!!!
何度も確認したが100点満点ではなかった。8、8、8、6って今でいうと「殿堂入りシルバー」の点数やんけ。あと2点で「殿堂入りゴールド」・・・ちょっとまて!。「太陽のしっぽ」って確かメチャクチャなクソゲーじゃなかったか?
ゲーム批評でもベタ誉めだったが、「超クソゲー」という本にも掲載されていたし、私の中では「FIST」「里見の謎」と同レベルの明らかなスーパークソゲーとして位置づけられていた。だからこそ今まで、ここには掲載しなかった。いや、「FIST」や「里見の謎」の方がツッコミを入れながらやると別の面白さがある分まだマシか?(注:それでも苦痛な人には苦痛&里見の謎は最後までやってない)「太陽のしっぽ」はツッコミを入れることすらかったるいと思えてくる。
これはオカシイ!と思った私はすぐにgooで「太陽のしっぽ」を検索してみたところ・・・マジでショック!・・「好きなゲームです」とか「お薦めです」とかいう意見の方が多かった。(クソゲーという意見ももちろんあったがそっちの方が全然少なかった。)クソな部分に突っ込みを入れて楽しむならまだしも、普通にプレイして楽しんでいる人達がいるとは・・・・いや何を楽しもうと人の自由なんですが、私も一応クリエイティブな仕事についている身。完全にうちのめされました。これが一般に「面白いもの」として受け入れられるとはねえ・・・・
自分の感性に自信をなくしてしまいました。
いやマジで。
【何故受け入れられたのか?】
人によって嗜好はそれぞれ、私が受け入れられんかったものでも面白いという人はたくさんいる。何でその人にとって面白かったのかを考えてみると・・・「ペルソナはキャラとか世界感が気に入ったんだろうな」とか、「To Heartはあのテのギャル&お話が好きな人たまらんのだろうな」とかの想像はつく。では、この「太陽のしっぽ」はどんな人に受け入れられたのだろう?
あくまで私の経験内からの推測&想像の範疇なのではあるが・・・
・ゲームには興味あるけど、マリオみたいなのは持ってるところを
人に見られたら恥ずかしいという人。
・ゲームユーザーであることにコンプレックスを感じるが故、それを打ち消すために
ゲームに対して、アートとかを求めてしまう人。
・こんなものをアートと評価したマスコミに踊らされてしまった人。
そうそう、このゲームって発売された当初、ゲーム専門誌以外でも結構取り上げられていた。なんやら、既存のゲームとは違ってアーチィスチックな面がどうやらこうやらとか。作者である飯田和敏氏の持つキャラクター自体が従来のゲーム開発者のイメージとは一線を画しており、そういうことも作用したのものと考えられる。美大出身の彼は雑誌のインタビューでもやたらアート、アートと連呼していた。そんな高尚なもんなんだろうか?コレ。
【コンプレックス?】
ゲームユーザーっていうのは大手を振って「オレはゲームが好きだー」なんてあまり言えないものだ。オレは言えるぞという人は合コンとかナンパする時とか就職の面接の時に言ってみてください。いや、言える人は言える人である意味偉いと思います。
そもそもゲームなんて上手くなっても社会的に何の役にも立たないし、自分の外見が良くなる訳でもないし、それを通じて人間的に成長するものでもないから。
それまでのゲームといえば、マリオとかの子供向け(実際大人でも十分楽しめる作りになっているが)のものか、シミュレーションやシューティングのようなある程度敷居のあるマニアックなものか、アニメ美少女路線を突っ走る、いわゆるオタク路線のものか。
「太陽のしっぽ」はそのどれにも属さない。だからこそ、「ゲーム」に後ろめたいもの、(オシャレではないとか、子供の遊び道具とかオタクと言われちゃうとか、上手くても自慢にならんとか)を感じている人、ゲームに踏みこめないでいた人にとっては、変にアートがどうのこうのと、一般誌にも取り上げられた(芸能人が好きなゲームとしても取り上げられてたね。)このゲームは、「これなら持っていても別に恥ずかしくない」・・という雰囲気を持っていたのは確かだと思う。
【何故私は納得できなかったのか?】
だって、純粋に遊んでみて面白いかコレ?箱庭の中を走り周るだけで楽しいという評価も見かけるが、それならマリオ64やゼルダをやってみると良い。(主人公がヒゲオヤジだからマリオはイヤという人は論外。)実際、両方遊んでみるといい。そのクオリティの差が歴然として分かるはずだから。グラフィック、キャラの動き、操作性等の基本的技術力からプレイヤーが楽しむための工夫などのクリエイティブな部分に至るまで歴然とした差がある。無論、箱庭の中を走り周る部分だけをとってみても然り。
あと、極論を言ってしまうと、こんな虚しい滑稽無双な世界を走りまわるくらいなら、その辺の本物の野原を自分で走ってみる方がよっぽどマシ。虫とか草花とか、観察できるものがいろいろあるぶん。いや、これで本当に走りまわられても恐いが。でもね、ほんとにこの「太陽のしっぽ」の世界ってなーーんもない。シンプルが売りらしいがシンプルというよりただの手抜き。
たまーに唇とかの気味が悪いオブジェらしきものがあるが何の意味もない。アートというより悪趣味って感じもするが。私に芸術を理解するだけのセンスがないだけか?食料となる動物にもあまり遭遇しない。(動物のモデルや動きもかなりヤバイ。)ただひたすら汚い、明らかに技術力、作りこみの不足しているグラフィックで同じようなフィールドが延々と続くだけ。
これは原始人に対する侮辱だね。
いや原始時代に行ったことはないのだが、それでもこの時代も世界はいろんなもので満ち溢れていたのではないだろうか。ここまで内容が何もないと、やっぱ手抜きだと思ってしまう。
この与えられた原始時代の世界を自由に過ごせるというのがこのゲームのウリらしいが、それなら、何かを手にとって観察してみるとか食えるかどうか分からんものを食ってみるとか、匂いを嗅いでみるとか、ぶら下がってみるとか、頭にかぶってみるとか(何を?)、いろいろ出来てもいいと思うんだけどね。自ら原始生活シミュレーションを名乗るなら本当に原始生活を感じられる何かがもっと欲しいところだ。そこに世界があると感じさせるものがあまりにも少ないのだ。プレイヤーが可能なのは、走る、食う、ジャンプするだけだし・・・・・。自分がその世界に対して干渉できることも僅かだし、世界が自分に働きかけてくることもほとんどない。そうか!そこはプレイヤーが想像力で補って、そこを楽しむもんなんだ!!んなアホな。(なに独り言いってるんだオレ。)
【作品?】
作者(実際一人で作るものではないが)の飯田和敏氏は「作品性」を高めるためにあえてそういうゲーム的なかけひきとかを入れなかったってそのホームページでコメントしてたけど作品性って何だ?
「太陽のしっぽ」に限ったことではないのだが、作者がアーティストを気取って自分が作ったものを「作品」っていうのなら一人よがりでも別にいいから、作者自分が納得いくまでとことん作りこんでから出して欲しい。商業としては早く発売しないと厳しいとか、コレ以上開発に人月もかけれないとかいろいろ事情もあるだろうけど、作者がアーチストを気取るなら、「人月?そんなもんクソくらえ!」って上に噛み付くぐらいのプライドと覚悟を持って欲しい。
【まとめ】
太陽のしっぽ=クソゲー論に反対する人の意見に、「前衛的だから」と認められないというのはおかしい、という意見もあるが(gooの検索で見つけた)、前衛的でも別に構わないと思う。何か問題があったとしても、ここから何か新しいものが生まれてくれば、もしくはそれを感じさせてくれれば、まだ評価に値する。
しかし、この「太陽のしっぽ」から感じたのは、変に「アートを気取ってゲ−ムユーザーのコンプレックスを取り除けば、いいかげんな作りのものでも認められてしまう」という、言いかえればユーザーにとっては純粋な面での面白さより、カッコ良さ(かっこいいとは思えんが)が優先されてしまうということ。そして、ライトユーザーにゲームとはこんなものなんだと誤解されてしまうのではないかという危惧。そういった業界に対してマイナス方向のことしか感じ取れなかった。ついでにそれ以来アートとか芸術という言葉にもマイナスのイメージを持つようになってしまったのだ。
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