韓国旅行記:ヨン様の国,ソウル・木浦・珍島・光州・麗水・晋州・統営・鎮海・釜山の歩き方

本に掲載している写真をご紹介します。
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7.晋州
成田からソウルに入り、ソウルから南下して木浦、珍島、光州、麗水、晋州、統営、釜山、鎮海へ行く
本に出てくる写真 本の文章 撮影者
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矗石楼を通り過ぎて、少し西に進むと左側の南江へ降りる小道があったので、下の川岸まで降りて行ったが義岩らしきものはない。おかしい、大体ここに誰も人が来ないのはおかしい。とにもかくにも、義岩を見ないで晋州を去ることは絶対にできない、さてどうしよう。

私は、すぐに川岸から上に登り、門の所まで引き返して最初からやり直すことにした。
あたりをもう一度よく見ると、矗石楼の南江側に義岩の標識があるではないか、慌て者の私は先ほどこの標識に気付かず通り過ぎてしまったのだ。
早速、この義岩の標識がある所から下の南江の川岸へ降りて行った。辺りには一〇人くらいの人が、南江や周囲の景色をぼんやり見ていた。少し進むと、水面から一メートル四方で高さ五〇センチメートルくらいの丸みを帯びた形をしている小石があり、その小石が朱論介が日本軍武将を抱いて身を投じた義岩だとすぐ分かった。【写真(晋州城の南江に浮かぶ義岩)】

そばにいたアジシに頼んで、私が義岩に立ったところを私のデジカメで撮ってもらった。

03年07月29日

松尾波笑
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話が少しそれるが、ついでにわたしのケンチャナヨ事件を紹介させていただく。
(ケンチャナヨという言葉は、日常生活においてきわめて頻繁に、親しみを持って使われる韓国語である。)

《●腹が立ったケンチャナヨ》

私が韓国へ行った最初の、一九八四年の話である。私は、食堂へ入りビールを注文した。食堂のアガシ(娘さん)が栓を抜いたビール瓶を一本持って来た。私は自分のグラスにビールを注ぎ温かいビールを飲みながらがっかりした。ビールを持って来たアガシにビールが冷えてないと文句を言った、しかし栓を抜いてしまったビールは元に戻らない。
しばらくして、先ほどのアガシが一品料理を一皿持って来た。少し様子を見ていると、温かいビールを持って来てしまった代償として、余分に一皿持って来たというのが分かった。一品料理を一皿持ってきてサービスしてくれても、温かいビールは美味くならないので私の顔は失望していた。そうするとアガシが、「ケンチャナヨ」と言った。
私は、この「ケンチャナヨ」を聞いて腹が立った。というのはケンチャナヨは、「大丈夫だ。そんなことは些細なことであり気にするな。」という意味であると、最近習ったばかりで理解できたからである。要は人に温かいビールを飲ましておいて「気にするな」とはないだろうと思い、腹が立ったのだ。

その後何年もしてからであるが、あの時のアガシは、「大丈夫ですよ。大丈夫と思ってね」と私を慰める意味でケンチャナヨと言ってくれたのではないかと考えるようになった。しかしながら、ネイティブスピーカーにこういう付帯状況におけるアガシの気持ち(ケンチャナヨの意味)を聞いたことがないから今もって本当はどうだったのか不明である。

03年07月29日

松尾波笑


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