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私は道庁を出て先ほどの正門の前に戻り、立ったままロータリの噴水をしばらく見ていた。そこにちょうど車を停車させて、エンジンをかけたまま車から出て来た若いアジシがやって来て、私のすぐ傍に立った。アジシは誰かを待っている様子であった。
私は最終確認をすべく、このアジシに分かりきったことを聞いてみた。このロータリが五.一八広場ですかと聞くととアジシはそうですと答えた、あの光州事件のあった所はこのロータリですかともう一度聞くとアジシはそうですと答えた。それからアジシは、今度は日本語の単語を交えながら記念碑があると教えてくれた。それはどこですかと聞くとすぐそこだと言って、ほんの二〇メートルしか離れていない現場に連れて行ってくれた。その現場は、なんと道庁正門の左手一〇メートルくらいの所にあった、燈台もと暗しで気付かなかったのだ。
手を後手にして縛られて地面に倒れている男性を含め、三人をモチーフにした記念碑が建っていた。【写真(五.一八光州事件記念碑)】
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