●実現した新幹線…3
ー「はじめてづくし」ではない新幹線?ー



 この0系新幹線はマイクロエース製の木箱入り特別セットで、開業1番列車を車番まで忠実に再現したものです。
 後方の写真はこのセットのパッケージです。



 交通博物館にはCTCの表示盤が保存されています。

 新幹線はATC(自動列車制御装置)で高速で走る列車の安全を守り、CTC(列車集中制御装置)で一元的に列車の運行管理を行い、車両や線路関係にも技術の粋を集めて…、ということはよく知られています。
 もう少し細かく列挙すると

・高速運転時はATCの役割を大きくして、運転士の人的なエラーが入らないようにしている
・全線にわたって踏切のない線路を実現し、踏切事故の可能性をなくしている
・各種のシステムに「フェイル・セーフ」(危険な場合には列車を止めてしまう等安全側に作動させる)の思想を取り入れている
・運行管理の手順などはマニュアル化されている
・新幹線の運行を妨害する行為に対して「新幹線特例法」が制定され、従来とは別の規定で処罰することとしている

などによってシステム全体が在来線と異なっており、非常に近代的な鉄道として完成されているのです。
 世界一のスピードを出せるだけでなく、コンピューターで制御され、無線で指令係と連絡をとりながら運転される列車は、本当に世界中をアッといわせました。

 が、実のところ、新幹線に使われている機械的な技術は基本的には在来線で実用化されている最新技術を改良したものが殆どで、突拍子もなく新しいものは案外使われていない、ということは意外と知られていないようです。
 ATCもCTCも一部の私鉄や地下鉄では実用化されていましたし、車両も「はじめてづくし」のようですが、基本的な部分は「こだま型」の発展型ともいえるのです。
 これは「限られた時間で安全なものをつくる」ために「既にある技術をなるべく利用し、改良する」という方法がとられたからといわれます。

 1964(昭和39)年10月1日、ついに新幹線は開業を迎えました。
 多くの人の夢と期待を乗せて、超特急ひかり号は走り始めたのです。

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