個人授業

 ちょうど、1学期の中間試験の前に入院し、期末試験の後に退院した為、通知票はもらったが、成績は1年の3月期と同じであった。
 学校側としては、校内の事件の為に2ヶ月も入院してしまった生徒に対し、責任を感じていたのであろう。
 夏休みに入って、主要5教科の各担任の先生は1週間づつニシジマ少年に対して教室で個人授業を行った。

 5教科合わせて5週間だから完全に勉強漬けの夏休みであった。
 後から振り返ると学業成績はこの個人授業のおかげで下降線から上昇線へ切り替わり、まともに進学することができたのだった。
 各教科の先生ともこの機会を通じて懇意にしてもらい、野球部を退部してから気落ちしていた学校生活も精神的に回復基調に乗った。
 災い転じて福となるというか、人間万事塞翁が馬って事かな。

 ところで「個人授業」というと、昔のイタリア映画を思い出してしまう。
 若くて美しい女教師とそばかすまみれの男の子が、とあるきっかけからめくるめく官能の世界へ足を踏み込んでしまうが、許されない二人には必ず別れが訪れるというお話し。

 えー、個人授業担当の先生5名のうち3名が女教師であった。
 3名の女教師のうち2名は新任で、大学を出たての若くて美しい???先生だった。
 夏休み、誰もいない校舎の教室で先生と二人っきりの一週間を過ごす。
 がらんとした教室は中庭から聞こえる蝉の声と、8月固有の熱気に包まれていた。
 板書している先生の後ろ姿のブラウスにはうっすらと汗の染みがにじんでいる。
 「ミーン、ミン、ミン、ミン、ジー」
 どうしても目線はブラジャーの紐をたどってしまう。
 「ミーン、ミン、ミン、ミン、ジー」
 頭にはイタリア映画のワンシーンが浮かび、ハモンドオルガンと女性コーラスが奏でる甘い音楽が流れ出す。
 妄想は妄想を呼び、思わず背後から飛びついてしまう自分を想像したりしてると、
 「はい、じゃあレッスン5のエクセサイズをやって」
 はっ!!(@_@)ここで現実に引き戻されるのだ。

 こういう経験ってなんでしょう。
 トラウマとか言うんでしたっけ。
 それから私は完璧な「女教師コンプレックス」の人になってしまったのだ。
 女教師に対して、強い尊敬の念を抱くとともに、心の底の方で満たされない思いがつのるというか、よからぬ考えが浮かんでしまうというか・・・(はあはあ、ぜいぜい。(^ ^!)

 レンタルビデオ店の囲いのある奥の部屋に行くと、「看護婦」と「女教師」は完全にシリーズ物として確立されている。
 それだけ需要が多く、私のような人間がいっぱいいるという証明なのであろう。

 幸い?にも、個人授業は健全なまま終了し、2学期からは問題なく学校に復帰することが出来た。