音楽部2

 女子40人に対し男子3人。


 おじさん同士3人が酔った勢いで
 「じぁあもう一件」
 てな具合で入ったお店で、一人にお姉さんが一人付いたりすると
 「オオ、いい店知ってますねぇ」
 なんて盛り上がっていく。
 これが一人に二人付いちゃったりするともう狂喜乱舞の世界である。
 これが一人に十三人付いちゃったりするなんてもう、よりどりみどり、手当たり次第、もう身体がもちましぇーんなんて馬鹿なことを思い浮かべてしまうだろうか。

 さあもう一度冷静に想像してみよう。
 おじさん3人で店の扉をくぐると
 「いらっしゃいませぇ〜」
 と、一斉に40人の女性の声が3人を襲う。
 この瞬間、喜びよりも恐怖を感じるはずである。
 4人ではないのだ。40人なのだ。
 たとえ財布の中身を気にしなくてよい立場であっても、変わらないはずである。
 そして、40人の視線がおじさん3人にそそがれるのだ。
 居心地はよいですか?
 さて、もう少し想像してみよう。
 実はおじさん達は別々に連れてこられた初対面同士だった。
 (ほらぐっと心細くなって来たでしょ。)
 そしてここからがホントの恐怖の始まりなのだ。
 40人の中で一番しっかりした感じの女性がいきなりおじさん達に楽譜を渡して、
 「それでは一人づつ歌って下さい」
 と、とんでもないこと言うのだ。それもマイク無しである。
 (そんな無理に決まってんじゃん)
 って、誰もが尻込みするよね。
 ところが、なんと驚いたことに、あなた以外の二人のおじさんは、堂々と大きな声で歌いきってしまうのである。
 (うわー、すげー、ほんとかよ)
 あなたはびっくりしてしまうのだが、この神業を目の前にしても40人の女性達は当然という顔をしているのだ。
 そしてついに、あなたの番になる。
 女性40人の視線があなたに集中する・・・・・


 どうでしょう?
 それなりに人生経験を積み、結婚して、子供もできて、カラオケもそこそここなし、お店では若いお姉さんにテキトーに軽口を叩ける日本のりっぱなおじさん(誰?)を想定してもこの状況はかなりキツくないですか?
 まして、異性とお話しするだけでも緊張して耳の後ろが赤くなってしまう14才の少年だったなら、もうなにをいわんをや・・・・・(文法へんかな?)

 ♪アーアーアアアアアーア、アーアーアアアアアー
 「それがその冬の音楽部での出来事だった。」