●L特急の功罪…3
ー「便利な特急」へー


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 とはいえ、あまりにも質の低い特急が多くなってしまった状況は、国鉄末期から民営化後にかけて是正の方向に向かっているといえます。
 もちろん色々な問題を残している地域もあちこちにありますが、総じて改善は進んでいるといえば、間違いはないでしょう。
 まず1982(昭和57)年、近距離なら割安の「B特急料金」が設定され、これが適応される列車であれば従来の急行と大差ない値段で利用できるようになりました。この時期から急行が全廃に近い状態になった路線も増えましたが、実害は従来よりかなり抑えられたといえるのです。


 特急「踊り子」の185系電車は外観上のインパクトはありましたが、設備は至って簡素で「特急用としてはあまりにも寂しい」という意見が続出しました。

 民営化後になりますが、新車の導入、スピードアップなども積極的に行われました。
 そうした動きの中で「スーパーひたち」と「フレッシュひたち」、「あずさ」と「かいじ」のように、同じ路線で「特急」を名乗りながら昔の「特急と急行」のような関係の列車が登場したのは、まったく皮肉といえましょう。


 「スーパーひたち」と「フレッシュひたち」はどう考えても「特急と急行」の関係といえそうです。
 しかし、格が下の「フレッシュひたち」の方がスタートダッシュは速く、スピードも「スーパーひたち」同様130km/hまで出せるので、性能面では優れています。


 しかし「格下」の特急にも新車が導入されるようになると、加減速性能を上げて停車駅は多くても速く走る工夫が盛り込まれるようになります。
 逆に豪華さを追求した「スーパービュー踊り子」等は、昔の「特別急行」に近いものといえます。
 また、かつては特急大増発の陰で冷遇されていた普通列車も、一時に比べればずっと便利な存在になっています。効率化によって長距離のものは減り、昔のような「鈍行列車の旅」は楽しめなくなりましたが、スピードも上がり、他の列車との接続も多くの場合改善されました。料金不要の快速も増えています。
 特急という列車が「すべからく格式ある特別なものであるべき」という固定観念を捨てれば、結果的に便利になったのは確かです。
 ところで、JR東日本では最近「L特急」という呼び方が廃止されています。
 これは「特急はL特急スタイルが標準」になってきている証拠なのかもしれません。

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