1.鈴木 幸 氏講演会『綾瀬川の蝶と植物』


(1)1998年3月28日(土) 10:00から佐藤町会館で当会アドバイザーの鈴木 幸氏のお話『綾瀬川の蝶と植物』を行ないました。以下、要約して報告します。


蝶にはいろんな種類のものがいますが、幼虫時代に食べる食草は蝶の種類によって決まっています。その特定の植物がいないとそれを食べる蝶は姿を現しません。ある蝶が見られる所にはある種の植物が必ずあるとわかります。特定の植物を見つけるとある種の蝶が出現するかもしれないのです。
綾瀬川あたりでこれまで13種類の蝶を確認しています。小さい蝶、羽根を開いたかっこうがシジミ貝を開いた形と似ているので名前がついたシジミ蝶の仲間から見ていきましょう。
1.ヤマトシジミ
幼虫はカタバミ(塀ぎわなどで小さく黄色いハート形の花をつけるもの)を食べて大きくなります。1年間に何回も卵〜幼虫〜蝶のサイクルを繰り返します。幼虫は草をなめるように食べるので、薄い皮のような葉が残ります。幼虫はゾウリムシのような形です。
2.ツバメシジミ
幼虫はシロツメクサなどのマメ科の植物を食べて成虫になります。ヤマトシジミとはツバメの尻羽のような小さい八の字形の突起で区別できます。
3.ルリシジミ
数は少ないです。健康福祉村近くの末田落としという用水路付近でクズのつぼみや花に卵をたくさん産みつけているのを見ることができます。
4.ベニシジミ
春はきれいな色模様をしていますが、夏になると全体に黒っぽくなります。食草はどこにでもあるスイバ(スカンポ)やギシギシで、幼虫はこれを薄皮を残すように食べます。根元に緑色にきれいな赤の幼虫をみかけることがあります。幼虫にはハエが卵を産みつけることが多く、サナギからの孵化を心待ちにしていて中からハエが出てきて驚かされることがあります。蝶野卵は白いまんじゅう形をしていてスイバの葉についています。
5.ウラギンシジミ
これは成虫のままカンツバキなどで越冬します。きれいな蝶です。秋にクズの花やつぼみを食べるピンク色の幼虫をたまに見かけます。
6.ギンイチモンジセセリ
春型には羽のウラに銀色の筋があります。ススキを食べます。
7.イチモンジセセリ
イネ科の植物を食べ、イネに卵を産みつけるため害虫とされています。


8.ヒメウラナミジャノメ
綾瀬川の改修の後、生える草はイネ科の植物の勢いが一番強くなると予想されます。この蝶はこれを食べますので、川を歩くと目立って多いようです。羽の目玉模様が名前の由来です。蛾と間違えられる地味な蝶です。
9.ヒメアカタテハ
食草はヨモギやハハコグサ(ゴギョウ)です。人間が草餅の材料をハハコグサからヨモギに替える以前から驚いたことに蝶はこの形の異なるふたつの草がキク科の共通のものであることをちゃんと知っていました。秋、健康福祉村などで草刈り後に出るヨモギの若葉を丸めた中にこの蝶の幼虫がいます。他の昆虫に寄生されやすいです。
10.キタテハ
成虫で越冬します。今年の1月3日はよい天気で、ちょうどこの蝶が飛んでいるのを見ました。藪に生えトゲのあるカナムグラ(ツル科)に産卵し、幼虫が葉を丸めて巣を作るので見つけやすいですが、よく他の昆虫が寄生して蝶になる確率は低いのです。
11.コムラサキ
日本人好みの渋い紫色ですが、光線のぐあいによって黒っぽく見えたり鮮やかに見えたりします。健康福祉村に多くいます。幼虫はシダレヤナギの幹の割れ目にいます。佐藤橋の近くの柳でも幼虫を見つけました。秋に熟した柿やイチジクの実の汁をたまに吸いに来ます。
12.ゴマダラチョウ
オオムラサキと同様にエノキの葉を食べます。今年の2月の野鳥観察会の折り、戸塚環境センターのエノキの落ち葉で越冬しているこの蝶の幼虫を見つけました。
13.キアゲハ
秋、川辺のセリに緑色に黒い線のある芋虫を見かけることがあります。キアゲハの幼虫です。健康福祉村のウイキョウの株によく見られます。家でもパセリ、にんじん、セリ、セロリで飼うことができます。お孫さんとこの蝶の成長を楽しまれてはどうでしょうか。




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