●房総特急183系…2
ー変わっていく「房総特急」ー

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 国鉄の「特急」の存在そのものも、すっかり変質していきました。
 かつては限られた人の乗り物でスピード、豪華さ、格式の高さを誇っていた特急は「特別な」ものではなくなり誰でも気軽に乗れるようになりました。


 「特急大増発」の問題は「L特急の功罪」の項もご参照下さい。

 その反面、少し遠くに行く場合や列車本数の少ない区間では、特急に乗らないと大変不便な地域が多くなりました。急行を無理に格上げした停車駅が多くスピードの遅い特急、自由席中心で従来よりずっと気軽な雰囲気の特急も出始めています。
 こうしたこともあって1982(昭和57)年、従来より割安なB特急料金が導入され、近距離なら急行と大差ない料金設定になりました。
 「同じ特急でも実態は急行に近い特急もある」と国鉄自らが認めた格好になったこと、その後あれこれと改善がはかられたことで、「特急大増発」による問題は、だいぶ緩和はされたといえます。
 房総特急は多くの批判を浴びながらも走り続け、1992(平成4)年には待望の新車、255系「房総ビューエクスプレス」がデビューしています。


 待望のJR型特急255系「房総ビューエクスプレス」。
 豪華な装備をもっているわけではありませんが、外観、内装ともセンスの良さが光ります。
 マイクロエースの完成品です。


 183系も改造によって内装はグレードアップされましたが、2004年度には183系も新車への置き換えが始まります。
 線路の改良も地道に続けられ、現在表定速度が60km/h台後半まで上がっている列車もあることは、意外と知られていないようです。
 決して速いというレベルではありませんが、悪条件完備の中で表定速度を10km/h上げるということは容易ではなく、関係者の苦労がしのばれます。
 その一方で鹿島線の特急「あやめ」(東京ー鹿島神宮)は大幅削減に追い込まれ、その代わり成田空港方面に連結される形での快速電車が設定されました。
 通勤型にはなりましたがそれほど速度差があるわけではなく、特急料金が要らなくなった分、従来よりずっと安く利用できる列車になったともいえます。「特急万能」の時代は終わり、合理的な列車体系を組む動きは少しずつ広がってきているようです。

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